2月26日 医科歯科大で行われた、日本産業衛生学会 産業歯科保健および関東産業歯科保健部会合同研修会 「働く人の顎関節症」に参加してきました。

就労者は、一般集団よりも顎関節や咀嚼筋の疼痛を持つものが多いという研究結果があります。職域における顎関節症の有病率は、16.4~18%と言われています。

顎関節症は、顎の痛み、口が大きく開けられない(または顎の動きに異常がある)、口を開けると顎関節に音がするなどの症状が生じる病気です。頭痛、肩こり、首の痛みなどを伴うこともあります。顎関節症は職域においても発生頻度が高いと考えられています。職場での精神的ストレスなどメンタルヘルスに関わる問題が関連していると考えられる事例や、VDT作業などとの作業関連性があると考えられる事例も多く存在します。

VDT作業(ブイ・ディー・ティーさぎょう)とは、ディスプレイ、キーボード等により構成されるVDT(Visual Display Terminals)を使用した作業を言い、一般的にはコンピュータを用いた作業を指します。VDT作業については、VDT症候群と呼ばれる、心身の不調を作業者に引き起こすこともあり、厚生労働省においてもVDT作業における労働衛生環境管理のためのガイドラインを定めて、使用者に対して、労働者の健康管理に配慮するよう求めています。

「一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分~15分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回~2回程度の小休止を設けること」が大切です。

顎関節症とのかかわりについては、TCH(Teeth contacting habit)いわゆる上下接触癖との関連が指摘されています。

上下の歯が接触するのは、一日の合計でだいたい20~30分と言われています。口の開け閉めには、開ける筋肉と閉じる筋肉があり、歯が当たっている状態は、閉じる筋肉がいつも緊張している状態にあります。

顎の安静位置は、上下2~3mm離れている状態をいいます。

上下の歯が接触している状態が長く続くとどういうことが起こるでしょうか?

たとえば、手をずーと握っていると手が開きづらくなりますね。これと同じことが、顎にも起こります。顎が疲れてくる。口が開けづらくなる。顎の関節の中の関節円板とう軟骨がずれて、顎が鳴る。などの症状が出ます。

歯や歯肉も影響を受けます。歯は、虫歯でもないのに痛みだし、歯肉も負担に耐えられず腫れや痛みが出現することもあります。また知覚過敏の原因となることも指摘されています。

上下の歯が当たらないことは大切です。しかし歯が当たらないように常に意識するとかえって疲れてしまいます。15分ほど作業をしたら、首や肩を動かすことが推奨されていますが、口もゆっくり大きく開けるなどしてリラックスしましょう。

パソコンのディスプレイ、本棚、トイレ、台所などに何か目印となるシールなどを貼って、これを見た時だけ歯が当たっていないか注意するというやり方も効果的です。

VDTのガイドラインでの指導では、

1.姿勢は、オトガイ部を引いてへその下の下腹部に意識して力を入れ(前へ出さない)で座る。

2.頭部は、後頭部が引っ張られるような態勢でオトガイ部をやや引き気味にする。また顔面をVDに近づけない。

3.胸は少し張り、腕は肩の横から真下に下し負担をかけないだけでなく、表情筋を意識して仕事する。特に表情筋は笑顔を作るようにして歯を接触させない。

4.起床時、仕事の前、休憩時間、入浴時、睡眠前に首の体操、口を開ける練習(ストレッチ)、表情筋、舌尖の体操をする。

5.起床時、仕事開始時、就寝時に「歯を食いしばらない」、「歯を接触させない」などの暗示をかける。

どうですか?もしかしたら、顎関節症?と思ったら一度ご相談ください。