顎関節症は本当は怖い病気ではありません。

朝起きたときに、首を寝違えて痛くなった経験を持つ人は多いと思います。顎関節症は、たとえれば首の寝違えによく似ています。

朝、起きたら顎が痛い。朝、ご飯を食べようと思ったら口が開かないなどの症状が最初に出ることが多いのですが、寝ているときに、かみしめている、寝る方向が悪い、疲れているなどいろんな条件が重なった時に症状が始まるようです。

首の寝違えと同じように、顎を寝違えたようなものです。という説明に納得される患者さんは多いです。

ただ、朝ではなく、夕方になってくると症状が強くなってくる患者さんもいます。これは無意識にかみしめているなど何かストレスを顎にかけていることが多いようです。

話を聞くことが本当に重要

ただ、たいていは、症状のきっかけは自分ではわからないことが多く、症状の原因を探すには、医療面接といって、症状に関すること、日常生活、仕事のこと、睡眠、食事などについてお話を聞いていく中で、問題が見えてくることが多く、これが、齲蝕や歯周病などの他の歯科疾患と違うところです。歯科医は、技術がどうしても優先されるため、医療面接のような、話を聞きそこから診断を導き出すというようなことに慣れていません。顎関節症では、この話を聞くことが本当に重要となってきます。

他の病気と似ている症状を示す

顎関節症は、日常生活に関連して症状が出ることが多いため、日常生活でちょっとしたことに気をつけていれば自然に治っていく場合も多いのですが、症状が消えづらい、強くなってくるとすると、何か顎に負担がかかるようなことがあるはずです。また、顎関節症の症状とよく似た症状を示す、他の病気は、意外に多く、場合によっては早く治療しなければならないものもあります。

1週間ぐらい様子を見て症状が変化ない、だんだんひどくなる場合は、専門医に診てもらったほうがいいでしょう。

少ない専門医

ただ顎関節症や口腔顔面痛の専門医は意外に少ないのが今の現状です。現在では学会HPを見ると専門医が見つかります。顎関節症の治療は数年前から比べて変わってきています。本当は簡単に治るはずなのに、治療の仕方が間違っているために、治らなくなってしまうことも多いようです。顎関節症で困ったときはぜひ専門医にご相談ください。

顎関節症の自己チェック法をしてみましょう

(合計点数が8.6以上では顎関節症の危険があります)

1.口を大きく開いたとき,人差し指から薬指を並べた3本指を縦にして入りますか?
(1.すっと入る 2.ほぼ問題ない 3.どちらともいえない 4.やや困難 5.全く入らない)

2.口を大きく開け閉めした時,あごの痛みがありますか?
(1.全くない 2.たまにある 3.どちらともいえない 4.しばしばある 5.いつもある)

3.口を大きく開いたとき,まっすぐに開きますか?
(1.いつもまっすぐ 2.たまに曲がる 3.どちらともいえない 4.しばしば曲がる 5.いつも曲がる)

4.干し肉,するめ,タコなど硬いものを食べるとあごや顔が痛みますか?
(1.痛まない 2.たまに痛む 3.どちらともいえない 4.しばしば痛む 5.いつも痛む)

あるいは設問2の「口を大きく開け閉めした時,あごの痛みがありますか?」に「はい」と回答した方も顎関節症である可能性がありますので,専門医を受診することをお勧めします.

(日本顎関節学会HPより)

顎関節症の症状について

顎関節症の症状について

顎関節症の代表的な症状は,「あごが痛む(顎関節痛)」,「口が開かない(開口障害)」.「あごを動かすと音がする(顎関節雑音)」の三つで,このうち一つ以上の症状があり,鑑別診断で他の疾患がない病態を「顎関節症」といいます。

顎関節症について

顎関節症について

顎関節症について、顎関節学会専門医・口腔顔面痛専門医が解説します。